その夜、優希は特任務のため、夜の街に出ていた。
新選組の羽織は身に付けていない。

子供の惨殺事件は、解決に向けて確実に進んでいた。
犯人は数人にまで絞込み、各隊士を見張りにつけている。
後は確かな証拠のもとで、犯人の命を絶てばいいのだ。

山崎が道場に飛び込んできたあの日、また一人、子供が殺されていた。
悔しさをかみ締めながら、これで最後の犯行にするべく、零番隊はその日から出ずっぱりで見回りと、情報収集に走り回っている。

ただ、どうしても、犯行場所に関連性が見られないのだ。
つまり、次の犯行現場の予想が立たない。

そのため、こうやって隊士総出で見回りや、見張りをしているのだ。

「今日は、月が出てないな・・・。」

空は厚い雲に覆われているのか、月はおろか星一つ出ていなかった。
そのせいか、夜の街はいつも以上に闇に包まれていた。

子供が襲われるのは、日が出ている時間帯だ。
夜は、ほとんどを情報収集と、犯人と疑われる人物の尾行に時間を割いている。

背後に気配を感じた優希は、立ち止まって振り返った。