「総司も、まだお仕事忙しいの?」
「うーん、優希の仕事が忙しい間は、僕も少しね。でも、近いうちにきっと、優希がお仕事片付けてくれるから、すぐ遊びに来るよ。」

沖田がさきを励ますように言うと、さきも納得したのか笑顔で頷いた。

「それに、雅貴にいちゃんが遊びに来てくれるから、寂しくないだろう?」

沖田の言葉に、ゲン太が目を輝かせて話し出した。

「雅貴にいちゃん、俺に剣術教えてくれるんだ。」
「剣術?」
「俺、さきを守りたいんだって雅貴兄ちゃんに言ったら、じゃあ強くならなきゃなって。」

嬉しそうに話すゲン太を、沖田は少し複雑な表情で見ていた。
が、すぐに笑顔に戻ると、よかったなと、ゲン太の頭を撫でた。

「じゃあ、僕達は帰らないといけないから。二人も、あんまり遅くまで外にいては駄目だよ?」
「はぁい。」
「じゃあ、またね。」

沖田と二人で、さきとゲン太に別れを告げ、屯所に向かって歩き出した。
途中、沖田がゆっくりと話し出す。

「ゲン太に、剣術教えてるんだって?」

沖田の言葉に、奥村は先ほどの沖田の表情を思い出す。

「あ、まずかったですか?」

申し訳なさそうに聞く奥村に、沖田は大きく首を横に振った。