沖田と屯所に向かって帰る途中、さきとゲン太がいる寺の前を通った。
「あ、総司だ!」
「雅貴にいちゃーん!」
寺の境内から呼ばれた声に二人が振り向くと、さきとゲン太が二人で手を振って走り寄ってきた。
「総司、最近何で来なかったんだよ。」
ゲン太の不満に沖田は苦笑いで答えた。
「最近、僕忙しかったんだ。ごめんね。」
「優希ねぇちゃんも、来てくれないの・・・。」
さきが寂しそうに下を向くと、沖田は少し胸が締め付けられた。
「優希、今お仕事頑張ってるんだ。だから、待っててあげようね。」
沖田の言葉に、さきは小さく頷いた。
その隣で、ゲン太が奥村の着物の袖を引っ張る。
「なぁ、雅貴兄ちゃんまた来る?」
期待をこめられた目に、奥村は苦笑いをしながら、それでも笑顔で答えた。
「あぁ、今日はもう仕事に戻るけど、明日の休憩にまた来るよ。」
そのやり取りを不思議そうにみていた沖田が尋ねた。
「あれ、奥村君はいつからこの二人と仲良くなったの?」
「えっと、実は・・・」
奥村は沖田に、数日前にここを通りかかり、永倉に二人を紹介され、遊び相手になって欲しいと頼まれた経緯を説明した。
「で、それからほぼ毎日、休憩時間に来てたんです。特にやることもないですから。」
「なるほど。永倉さんらしいなぁ。」
そういって可笑しそうに笑う沖田に、さきが話し出す。

