奥村は外に出ると、広間から離れた縁側に座る優希の姿を見つけた。
ゆっくりと近づき、驚かさない程度に声をかけた。

「夜風さん、隣、いいですか?」
「あ、奥村君、いいよ。どぉぞ。」

優希は奥村に微笑むと、座るように促した。
奥村は優希の隣に腰を下ろす。

「夜風さんも、お酒飲まないんですか?」

沖田が飲まないのだ。女性である優希が飲まないのもごく自然な考えだ。

「普段は飲むよ。ここにいたら飲まされるんだもん。」

苦笑いをしながら答える優希に、奥村は首をかしげた。

「体調でも悪いんですか?今日、結構早い段階で抜けましたよね?」
「あー、体調は心配ないよ。ただね。」

優希は、少し言葉を詰まらせると、空を見上げながら呟いた。

「今日は、私の隊の隊士が一人、仕事で出てるの。だからちょっと落ち着かなくて。」
「夜風さんの隊の隊士って・・・あ。」
「ふふ、気がついた?」

優希の問いかけに、奥村は首を縦に振った。

「山崎さんを今日見てません。」
「せっかくの歓迎会なのに、ごねんね。烝、ちょっと急な仕事で、まだ戻らないの。」

申し訳なさそうに頭を下げた優希に、奥村は思い切って言ってみた。

「あの、聞きたいことがあるんです。」
「ん?何?」

少しのためらいの後、小さく呟いた。

「零番隊のこと、僕に教えてください。」