それからしばらく永倉と沖田に手合わせを願われた。
ついには、自分の隊の隊士たちの相手を終えた藤堂や原田まで入ってくる始末だ。

しかも原田に、男なら飲めと訳の分からない理由でかなりの酒を飲まされた。
酒をあまり飲まない沖田をよそに、永倉も奥村に合わせて飲んでいるがいっこうに顔色に変化が見られない。

「な、永倉さんって、酒強いんですね・・・」
「あ?まぁ、毎日こいつらと飲んでれば強くもなるだろ?」

そういって永倉が視線を送る先には、完全に出来上がっている原田と藤堂の姿があった。

「俺、ちょっと外で涼んできます。」
「おぅ、あ、それなら戻るとき、優希連れてきてくれ。あいつも外にいるはずだからよ。」
「夜風さんですか?分かりました。」

永倉の願いに返事をすると、奥村は外に向かって歩いていった。

「新八さん、珍しいね。優希のこと任せるなんて。」

顔を赤らめた藤堂が永倉に尋ねた。

「ん?いや、奥村も優希に聞きてぇことが、色々ありそうだったからな。慣れない生活してんだ、気にかかることは早めに取り除いといたほうがあいつのためだ。」

永倉の言葉に、藤堂はじっとその顔を見つめた。

「・・・な、なんだよ。」
「いや、さすが新八さんだなって思ったんだよ。」
「は?」
「気にしないでいいよ。あ!総司!それ俺のつまみだって!」
「いいじゃん、ちょっと僕にくれたって。」

沖田とじゃれだした藤堂から視線を外すと、永倉は奥村が出て行った障子を見つめた。