夜、新選組の隊士達は屯所の一番広い部屋に集まっていた。
上座には局長の近藤をはじめ、幹部たちが勢ぞろいしていた。
その真ん中、近藤の横には、またもや小さくなっている奥村が座っていた。
「さて、今日集まってもらったのは、ここにいる彼の歓迎会だ。奥村君、立ってくれるか?」
「は、はい!」
近藤に促されて、奥村はその場に立ち上がった。
「彼は、奥村雅貴君だ。優希の知り合いで、つい最近江戸から京に来たばかりだ。
しばらくここで、賄方として働いてもらうことになった。皆、顔をあわせることも多いと思う。仲良くしてやってくれ。」
一通り紹介をし終えると、近藤が奥村に話すようにうながした。
「えっと、奥村雅貴と申します。不慣れでご迷惑をおかけするかも知れませんが、よろしくお願いします。」
一言挨拶をし、頭を下げた。
何人かの隊士が隣の隊士と囁きあっていたが、拍手で迎えられとりあえず一安心のようだ。
「さて、硬いのはこの辺にしよう。さ、せっかくの宴会だ。楽しもうじゃないか。」
近藤の声で、隊士達は思い思いに話しはじめる。
中には、自分の隊の隊長に挨拶に来ているものもいる。
礼儀なのだろうし、隊長たちも最初のうちはそれにしっかりと応じていた。
奥村も、とりあえず近藤と土方に挨拶を済ませ、どうしようかと幹部席に目をやると、沖田と永倉のところに隊士の姿がなかったため、そこに足を運んだ。

