「まぁ…呼んでくれないならオレも"宮下さん"のままだけどね」

「えっ!?」



それは…軽く強制してるよね。


可愛い顔してやることは酷いもんだ。


あの四人に絶対に入れ知恵されたに違いないよ。



「"宮下さん"のままでいいの?」


頬杖をついて見つめてくる煌くん。


あぁ…やっぱり好きだな。
胸がキュンキュンするの。


……私だって、名前で呼ばれたいに決まってる。

好きな人になら尚更ね。



今ここで、一歩を踏み出したなら何かが変わるかな?


また少し、まだ届かない扉に近づけるよね。



「―――――…さ、つき」


初めて知ったよ。好きな人の名前を呼ぶことがこんなにも緊張することを。

でも呼ぶだけで嬉しくなる。


「華衣ちゃん」


ほら。嫌いだった名前も好きな人に呼ばれただけで好きになる。

幸せな気分になる。



私、今日のこと絶対に忘れない。




もうすぐ期末テスト。

そしてクリスマスがやってくる。



またほんの少し、好きな人に近付けました。





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