帰りのタクシーの中で、私はただ、ママの言葉を頭の中で反芻していた。

でも、うまく答えなんて出てこなかった。


(給料カットだなんて…正直、生活が苦しいよ)


水商売やってるからって、羽振りがいいのは昔の話だ。

ましてや、田舎のスナックで働いてるような私は、普通のOLの一人暮らしと大してかわりない。

ただ、ママには長いことお世話になっている。
だからこそ、私自身もママの助けになりたいという気持ちがあるし、もちろん働かせてもらっているという感謝の気持ちもあった。


こういう世界にありがちな、お金だけの繋がりなんかじゃなくて、ママと私は確実に気持ちの繋がりがあったんだ。

だからこそ、今回の件は私たちにとってとても苦しい決断となりそうだった。


(給料下がるなら辞めます…なんて、言えないよなぁ…)


私は大きくため息をついた。