でも、とママは続けた。


「最近、お客さんも少なくなって、今日みたいに私とナナミちゃん、二人だけで営業する日もあるでしょ…正直、経営も楽じゃなくて…わかるでしょ?」


ママは申し訳なさそうに話す。
けど、最後に念を押すのはズルイ、と思った。

わかる、と言わざるを得ない。
そして、そう言ってしまえば、そのあとの言葉も受け入れざるを得ないことになるのもわかっていた。


「私も悩んだんだけど……」


次の言葉までが、長く感じる。
それだけ、ママも悩んだからかもしれない。

でも、決断はすでに下されていたんだ。


「ナナミちゃん、申し訳ないんだけど、お給料を少しカットさせてもらえないかしら?」