「…はい?」


寝起きの、まだ醒めきれない頭で、私は思わず聞き返した。


「…ですから、副島さんを採用ということで…今週中にも研修を始めたいと思いますので」


電話の相手は、あのコンビニの店長さん。

採用の電話がかかってきたのだ。



あの日、完全に諦めモードで帰宅した私は、まさか採用されるなんて思いもよらず、渡された名刺も棄ててしまっていた。

仕事柄、名前と顔はちゃんと覚えていたけれど。



ぼんやりする頭を何とかたたき起こし、堺店長の話を書き留める。


「…では、明後日の10時に」


私は電話に向かって深々と頭を下げた。