それから保育園を出ると、
先輩と桃ちゃんと私は並んで歩いていた。
「お姉ちゃん、あんずってお名前なんでしょー?」
手をつないだ桃ちゃんが私をニコニコと見上げていた。
え?なんで私の名前…
「桃、あんずジャム好きなんだぁ♪」
「桃ちゃん、何で私の名前知ってるの?」
「お兄ちゃんがお話してくれたー。
桃、動物大好きなの。お兄ちゃんがいつも動物の本を学校で借りてきてくれるんだぁ!本のカードにお姉ちゃんの名前書いてあるもん。」
「カード…あ!貸し出しカード!」
本ってもしかして…
「桃ちゃん、『ねこのあしあと』って本
知ってる?」
「うん!桃の一番のお気に入りなんだ!」
そういうことだったんだぁ~。
先輩がいつも借りて帰る『ねこのあしあと』は桃ちゃんのためだったのかぁ。
なんか納得。
私てっきり先輩が読んでるのかと思った。
「杏お前、ずっと俺だと思ってただろ。」
「ごめんなさぁい。」
「ったく。」
なんて言いながら、先輩と2人顔を見合わせて笑い合った。
桃ちゃんもつられて笑った。
何だか…すごく幸せな気分。



