病院中が一瞬で静かになる。

知っていた紫織は視線を下に向けていて。



私は乾いた笑みを浮かべた。






「華風寿、それがアイツの名前」


「寿って…確か、」


「そう、誕生日の暴走んときにうちが叫んでた名前」







そして昨日、つい名前を出した。



未だに皆は目を丸くして、頭の中を整理している。

けど、英寿くんだけは冷静で。







「そいつの居場所は分かるんけ?」


「…なんとなく」


「ほなお前が話つけてこい、約束したんはお前やろ」


「うん」


「以上」








そう言うと、英寿くんは窓を開けてタバコを吸う。

病室で吸っていいのかは、まぁ置いといて。






「任しといて」


「俺も一緒に行きます!!!」


「アホ、お前は入院じゃ」


「雄大さーん…」







犬のようにシュンとしている龍は、やっぱり可愛い。


とりあえず、無事でよかった。








.