龍が私を睨む。

絵里は龍の後ろで笑っている。





私はただ、涙を流すことしか出来なくて。








「そんな、傷?」








笑えないのに、何故か笑ってしまう。







このバイクは英寿くんから貰った大切なバイク。

私の為に手を真っ黒にしながら組み立ててくれて。






世界にただ一つのバイクなのに。








「違っ、あの」


「龍にはそんな傷にしか見えへんねんな」


「すみま、」


「一生そこにいとけ、二度と顔を見せんな」







涙を拭うことなく、冷たく言い放つ。









龍には、失望した。









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