一瞬、何が起こったのかわからなかった。 重なった唇は離れていって。 「俺はゆいさんが他の男と一緒にいるだけでムカつくのに」 「ちょっ…!!!」 「ゆいさんは俺に対して妬いてくれないんすね」 ギュッと抱き締められると、龍の掠れた声が耳に響く。 泣きそうな、悔しそうな、そんな声。 こんな龍を私は知らない。 見たことがない。 今日は、知らないことばかり。 「龍っ、離して…」 「嫌です」 「龍!!!」 どれだけ身を捩っても、離そうとしても。 力が強くて適わない。 心臓が、ドキドキする。 .