「今年は生チョコを作ろうと思います」


「はぁ、」







入院生活から二週間経ち、学校で昼休み中。

パンをかじる私の前で紫織は真剣な眼差しで見つめてきた。




季節はもうバレンタイン。

そういえば他の女子も騒いでたっけ。



皆、乙女やね。







「言っとくけど、ゆいも作るねんで」


「うちはチロルチョコで、」


「あかん!!!」


「ひっ…!!!」







バンッ!!!と机を叩かれて、思わずパンを落としてしまう。

瞬間的にクラス中から視線感じて。







「去年は許したけど、その代わり今年は作るって約束したやろ?」


「…したっけ?」


「ここに証拠があります」






そう言われ、取り出したのは一枚の紙。

そこには契約書、と書かれていて私のサインも。





最悪。








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