「あらっ、華風さんのお兄さん?」


「あ、はい」


「顔そっくりですね」







一瞬だけ病室に入ってきた看護師さんは、私と寿の顔を見比べる。

そして直ぐに出て行ったけど。



…なんかもう慣れてきたわ。







「ほんで?何の用?」


「妹の見舞い」


「ご苦労様、ほなね」


「おい!!!」






ヒラヒラと手を振るけど、願いは叶わず。

結局寿はパイプ椅子に座り、りんごを剥き始めた。



ってかりんご剥けるんや。







「旨いやろ?」


「誰が剥いても美味しいけどな」






シャリシャリとりんごを食べ、それを見ないで寿はりんごを剥き続ける。



すると急に手を止め、











「お前まだ、俺のこと許してないん?」












小さな声で呟いた。










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