「好きなヤツってダレ?」
快はもう一度問う。

目が恐い。


だけど、負けられない。



「今は答えられない。」


凛と言い放った。





「……名前言えよ!」

とたんに、マグカップが勢いよく飛んでくる。

壁に当たって砕け散る。


テーブルがひっくり返る。

たたんであった洋服が散らばる。




狭い部屋はまるで地獄のようだった。


あたしは隅で身を守るように丸くなっていた。