まだ少し痛む下腹部を押さえて、向かったのはお店のバーだった。


こんな時はホラやっぱりコウさんしかいない。

荷物を持ったあたしを見てコウさんはかなり驚いていた。



「悠奈ちゃん!?大丈夫なのか!?」

「大丈夫ですよ?一杯いただけないですか?」


不思議ともう涙は出なかった。あたしの涙はもう枯れたのか?

コウさんはアルコールではなく、ホットミルクを出してくれた。

「何かあったのか?」

「色々ありすぎてちょっと疲れました。」

あたしの本音だった。


「今お酒を飲みたい気分なんですけど、ソレ下さい。」

あたしはコウさんの飲みかけのお酒を奪った。




それと同時に、いつも撫でてくれたはずの手が、あたしの頬を叩いた。


「いい加減にろ。自分を大事にしろよ。」

見上げると、コウさんの瞳が潤んでる。

枯れたと思っていたあたしの瞳も潤み、視界をぼやけさせた。


さっきあたしの頬を叩いた手は、いつものように頭の上へ。

そして、あたしを引き寄せ、抱き締めた。

あたしは子供の様に泣きじゃくっていた。





ごめんね、赤ちゃん。

ママはまだまだママになれなかったの。

ママが弱いせいで…

守れなくてごめんね…