ナミダボシ



少々不機嫌そうな顔で振り返ったのは、今朝の無愛想男だった。

「よろしく…」
「あ、よろしくお願いします」
「だぁー!!…ったく、愛想悪いんだから。こいつ、唐木幸太郎(カラキ コウタロウ)つーの」


「…唐木…幸太郎…」


なんだか聞き覚えのある名前…。
それに、この顔も見覚えあるような…。


じーっと唐木くんの顔を見ていると目が合い、ギロッと睨まれた。

「…何」
「あ、いえっ」


あたしは慌てて下を向く。
何なのこの人。無愛想だし、怖いし…。

あぁもう!!
だから嫌だったのに。
いくら期間限定だからって、違う学校に転入なんて!!



「気にしないでいいよ」
「…へ?」

斉乃くんが声をかけてくれた。


「あいつ、いつもあんなんだから。特に女子には滅法冷たいし」
「…そ、そうなんだ…」