この青空を君へ。

「亮くん離してよ!」

「嫌だ」

つかまれた腕が痛んだ。
それとも心が痛かったのかもしれない。


「・・・痛いよ・・・」

絞り出すように私は言って、彼の顔を見上げた。



「・・・ごめん」

そう聞こえたとたん、さらに強い力で引っ張られて気づくと私は彼の腕の中にいた。



何が起こってるの?


よくわからず顔を上げるとすぐ目の前に亮の顔があって、その目は・・・おびえたような目をしている。


何におびえてるの?



前に会った彼とは別人みたいだ。



雨は気づかない間に本降りになり、二人の体を濡らす。
まわりに人の姿もない、この校舎の裏に聞こえるのは地面に叩きつける雨音だけ。


傷ついてるの?



知らなかった気持ちを知って。

傷つける痛みを知って。




彼はそのまま私を抱き寄せ、私の唇を塞いだ。

私は何もできなかった。

痛い、痛い、痛い・・・そんな声が心から聞こえてくる気がしたから。