この青空を君へ。

「亮くん、ケイと友達なの…？」

いやな緊張で心臓がばくばくする。“ケイ”という言葉を声に出したのはいつぶりだろう。


「友達ってか、野球仲間かな。俺ら大学の野球サークルやってるからさ。」


「ああ、そうなんだ…」

(やっぱまだケイの話まともにすると辛いな…話題変えよう…)


「あ、野球といえばさ？」
と私が話しだしたと同時に、亮はこう言い放った。



「俺、ずっと思ってたんだよね。なんでこんなんと付き合ってんのかって。だからあんたの顔も覚えてた。」

「別れてよかったんじゃね？」


(……えっ、今…何ていった？)

私は亮の発した言葉に放心状態になった。


(なんで…こんなこと初対面のやつに言われなきゃいけないのよ…)


しばらくだまっていると、仕切り役の悠二が私の顔をみて驚いていた。


「ち、千春ちゃん！どうしたの…？！」


その言葉に、他のみんなが一斉に私の方を見る。


そして、悠二の言葉に我に帰った私は、自分が涙を流してることに気が付いた。


「千春…？」
心配そうにミサトが駆け寄ってきた。


(どうしよう…恥ずかしい…！それに私、場の空気悪くしてる…)


私は、「ごめん！」と一言放ち、カバンを無造作にもち、駆け寄るミサトを無視するような形で店から出ていった。