夏奈子がぐったりしているのは、きっとこれみよがしに神田の態度が変わったからだろう。


こういう気の使い方が、彼女の女性としての特権を無駄にしているのだが、神田たちにしてみれば人間としての魅力のプラスになるのだから不思議だ。



「俺は山田さんに用があるんや」



「今は忙しい」



きっぱり答えた神田に、だが夏奈子は黙っていない。



「ちょっと。神田くんは黙ってて。話が進まないから」



「………お前なぁ…」