『ルーム片付けに行ってきます。』

話に混ざれない…というか混ざる気もない私は、その場を離れた。

私がバイトで入ったカラオケ店は、フロントとルーム清掃とキッチンを時間ごとに回っている。

ルームを片付けて、グラスをキッチンへ持って行くと神崎くんがいた。

“何か話すべき”

…と、思ったけど、何を話せばいいか分からない。

目が合ってるのに、何も言えないでいると

『仕事、大丈夫』

と話し掛けてきた。

『はい。』

そう答えると

『そっか』

と、言ってニコッと微笑んだ。

黙っているとクールな印象の彼は、笑うととても可愛らしくて、つられて私も微笑んでた。

さっきまでの騒がしい雰囲気はなくて、穏やかな口調と笑顔は、妙に記憶に残った。