「──……何、コレ」 俺の車の助手席に、不自然に置かれている座布団を退かした白木は、呆れた声を出した。 「ピンクのクマ以外の何に見える」 「助手席にクマって……先生、本当に淋しかったんだね」 「放っとけ!」 耳を掴んで持ち上げる白木からクマを救出し、後部座席にそっと置く。 「そのクマ、もう置かないで」 「車の中に何を置こうと、俺の勝手だろ」 「ココは、俺の席だから」 ──クマなんて置かないで。 上目遣いで懇願する瞳に、俺はもう何も言えなかった。 fin