「……逃げないんだね」
少し嬉しそうに白木は呟いて、俺の首に腕を回してくる。
放さない、とばかりにホールドされて、屈めたままの背中が辛い。
「先生も、俺のこと好きなんだね」
「白木……っ、揶揄うのもいい加減に……っ、んぅ……」
言葉ごと奪われて。
その唇の柔らかさ、暖かさに、思考が揺れる。
「先生……」
潤んで熱の籠もった瞳に、至近距離で見詰められて……。
「先生から、キスしてよ」
少しでも動けば、また、唇が触れてしまう。
そんな距離を保って、白木は目を閉じる。
何故だろう。
長い睫毛に飾られた瞼で、黒い瞳は隠れているというのに。
白木から目が反らせない。
もう一度、その唇に触れたいと思ってしまったら、もう止まれなくて。
言われるまま唇に触れた瞬間、びっくりしたように白木が目を見開いた。
そして直ぐに、嬉しそうに目を細めた。


