おしゃべりな百合の花

「くだらない冗談は大嫌いだ。俺に冗談が通じるなんて思うな。」


 表情崩さず、無表情のまま龍一が言った。


 美百合が泣きそうになりながら、


「ごめんなさい。もう冗談言わないから…だから、降ろして。こんなの恥ずかし過ぎる。」


 と小声で訴えた。


 龍一は、美百合の反省を確認できたことにすっかり満足し、すぐその場に降ろした。


「ちょっとやり過ぎた、ゴメン。」


 女性を泣かすのは趣味じゃない。


 龍一は、行き過ぎた行為を謝罪した。


 途端、美百合はニッと不適な笑みを浮かべ、


「こっちも嘘泣き。冗談やめる訳ないじゃん!だって楽しいんだもん。」


 そう言って、逃げるように走り出した。