遊園地に着くと、それはもう、驚くほどのハイテンションで、美百合は、とてつもなく広い敷地内を、所狭しと駆けずり回った。
体力に自信があった龍一だが、離れないように後をついて歩くだけで、精一杯である。
とても絶叫マシーンなどの恐怖に耐えるエネルギーなど、残っているはずもなく、ゆったり動く小さな子ども向けの乗り物だけ付き合った。
美百合はかなりのスピード狂らしく、ジェットコースター類いのものを好んで乗りたがった。
とても付き合いきれない…朝の安息を得るためだけに、この代償はあまりに大きすぎる。
龍一が全てを投げ出そうとした時、美百合がそれを察知してか、不意に不満を露わにした。
「つまんない。」
それまで走り回っていたのに、急に立ち止まって、龍一を睨みつけた。
「何だよそれ。自分一人はしゃぎまくって、こんなの『デート』って言えるか?そのあげく『つまんない』だと?ふざけんな。お前は十分楽しんでたさ、絶対に。」
本気で腹が立ち、声を荒げて言い返した。
「楽しんでなんかない。だって、全然一緒に乗ってくれないんだもん。一人で並んで一人で乗って…寂しいよ。」



