「ねーねー、もうすぐ夏休みでしょ?もちろん遊ぶけどさー、また勉強会しよーよー」
私が脳内で瀬川くんの走りをスローモーションで再生していると、隣からあかねちゃんのそんな声が聞こえてきた。
「……え?うん。…けど、テストも近くないよ?」
あかねちゃんの言葉に驚いて、私の脳内の瀬川くんの走りを一時停止させたけど、明らかにまたボーっとしてたのが丸分かりの受け答えをしてしまった。
「違うよ、柚。あかねちゃんは夏休みの宿題のことを言ってるんでしょ?」
「え?ああ…宿題。そうだね」
「ちょっとぉー、まさか夏休みの宿題の存在を忘れてたのー?そりゃあ私も忘れたかったけどさぁ」
映美佳からもあかねちゃんからも、少し冷えた視線を感じた。
………ヤバイ。
どうしよう?
私が少し戸惑っていると、急にあかねちゃんがニカッと笑顔になって私の背中をバシバシと叩き始めた。
「まっ、宿題なんてヨユーってコトだね!さすが柚サマ!!」
「いったぁ!!ちょっと、あかねちゃん!?」
すると、映美佳もその様子を見て笑顔になった。
「早く目を覚ませってことでしょ?ゆーずー、もう夕方ですよぉ〜〜」
「それは分かってるの!」
私達は笑い合いながらまだ昼間のように明るい帰り道を歩いて行った。
――
―――――

