…え?
そうだっけ???
それを聞いた映美佳は私の顔をじーっと見た後、あかねちゃんに向かって話し始めた。
「どうせ柚のことだから、予習し過ぎて夜更かししてたんでしょ?柚、英語とか数学、今習っている所よりもかなり進んだ所の問題解いたりとかしてるんだよ」
「えーーーっ!?信じらんない!!」
「でしょ?私、時々朝柚と一緒に登校してるんだけど、しょっちゅう歩きながらあくびしてるもんね」
「いや、今日はちょっと違うんだけど……」
確か、昨日は宿題終わった後、さっさと寝たはずなんだけど。
そう言い訳しようとするけれど、あかねちゃんはまだ信じられない様子で私の顔をまじまじと眺めている。
「なるほどー。それが柚が頭のいい理由かぁ。私、そこまで努力できないなー。あっ、それに今日、午前中に体育あったもんね。そりゃあ疲れるわー」
「だからって、授業中ボーっとしてたら予習の意味ないよ、柚」
映美佳に言われてとりあえず「うん」と言ったけど、私はあかねちゃんの『体育』という単語に反応してしまっていた。
ああ……
また思い出した。
瀬川くんの颯爽とした走り。
完全に私のまぶたの裏に焼きついたまま、離れる気配がまるでない。

