「おぅ、杉田、じゃあなー」
放課後。
あれから席替えをして、瀬川くんとはまた席が離れたはずなのに、瀬川くんは毎日帰りがけに私に挨拶をしてくれる。
「うん。また明日……」
いつものことなのに、今日に限ってドキドキ鼓動が速くなる。
しかも、嬉しいと思ってしまう。
こんなこと、今まで感じたことがない。
そんな気持ちを隠しながらいつも通り瀬川くんに手を振っていると、後ろから勢いよく背中を押された。
「ゆーずっ!!一緒に帰ろー♪」
いきなりの背中への衝撃と大声に振り返ると、既に帰りの準備をバッチリ済ませたあかねちゃんが楽しそうな笑顔で立っていた。
「……あかねちゃん」
「なーにボーッとしてんのよ!早く帰ろー!」
「う、うん」
あかねちゃんの勢いがあまりにすごかったので、私も慌ててカバンに教科書を詰め込んだ。
教室を出て靴箱の所まであかねちゃんと話しながら進んでいくと、映美佳の姿が見えた。
「あっ!映美佳!!」
私が映美佳に気付いて手を振ると、映美佳も私達に向かって笑顔を見せてくれた。
「柚!!馬場さんも!」
「あれ?小谷さん??」
隣を歩いていたあかねちゃんも映美佳に気付いて声をかけた。
すると映美佳は私達に近付いてきた。
「一緒に帰るの?私も混ぜてよ」
「うん、いーよー♪ね、柚?」
「うん。みんなで帰ろう」
こうして私達3人は一緒に帰ることとなった。
夕方の時刻だというのに太陽はまだ高くて、暑過ぎるほどの光線を放っていた。

