「あっ、話、どーなった………って、おい!!」
私達3人は勢いよく教室に入って、いまだものまねで遊び続けていた瀬川くん率いる男子達の真横をすり抜けた。
その時、私達の様子に気付いた瀬川くんが何か話し掛けていたような気がしたけど、はっきり言ってそれどころじゃなかった。
「何だよ、俺にも説明しろっての!」
後ろから瀬川くんの声が聞こえてきたけど、私達は馬場さん達のグループに一直線で進んでいった。
「ちょっと、今話できる?」
多田…じゃなかった、あゆが先陣を切って、盛り上がっていた馬場さん達のグループに立ち入った。
盛り上がってた空気が、少し静まった。
けど、馬場さんは私の顔を見つけて、安心したような表情を浮かべていた。
「………何?」
グループの一人が、私達を軽く睨むようにして見てきた。
「『何?』じゃないでしょ。馬場さん、うちらの悪口言ってなかったらしいじゃない?」
けど、あゆとななっぺの迫力も全然負けていない。
私はと言うと、ただただ事の成り行きを見守ることしかできなかった。
「意味分かんないんだけど?被害受けたのはこっちだよ?」
「そーよ。毎日悪口聞かされてさ。気分悪くて仕方なかったんだから」
「せっかくあかねちゃん許したのに、まだ文句あるの?」
3人は言いたい放題言っていた。
だけど、馬場さんだけはそんな言葉は聞きたくないという風にじっと下を向いていた。
「…やっぱりあんた達じゃ話にならないか。馬場さん、本当のこと言って?こいつらの反応とか気にしなくていいから」
あゆは腕を組みながらため息をつき、そう言った。
あゆの言葉に反応した馬場さんは、ゆっくりと私達の方に顔を向けた。

