引っ込み思案な恋心。-1st






「瀬川、杉田さんだって用事あるんだよ?引き留めたらダメじゃん」





私が明らかに困った顔をしたのを見逃さなかった細井さんが、瀬川くんにそう言った。





「いやいや、俺と杉田は一緒にリコーダーを練習した仲。嫌がるわけないだろ?な、杉田♪」





…その笑顔、余計に断りにくいんだけど……。






私が黙って突っ立っていると、今度は多田さんが瀬川くんに言い寄ってきた。





「昨日は良くても今日はダメだったりするんだよ。それが女心ってもんよ。覚えときな」



「は?やっぱ女子ってめんどくせー」



「………」





私はそのやり取りを無言で見つめるしかなかったんだけど……





途端に多田さんと細井さんと瀬川くんの顔が私の方に向いてきた。





「………え?」





これは…、私の答えを待ってるってことだよね?





こんな風に大勢から見つめられると、恥ずかしくなってつい下を向いてしまう。






その時、また別の方向からある女子達の笑い声が聞こえてきた。





この声……。





その笑い声のする方に顔を向けると、馬場さんと、馬場さんと仲のいい3人の女子達が見えた。





けど、馬場さんはやっぱり笑ってない。





会話にも入っていけない感じに見えた。







これって、もしかして……



チャンスなの???






私から多田さん達に真実を言えば……



奇跡が起こるかもしれない!!