「まさか、柚が聞いてるとは思わなかったよー。帰ったんじゃなかったの?」
「ごめん、あかねちゃん……」
私とあかねちゃんが話していると、忘れ物の袋を手に持った瀬川くんがまたドアの辺りに現れた。
けど、瀬川くんはまた無言でその場を去ろうとしていた。
「せ、瀬川!!待って!」
ななっぺの声に反応した瀬川くんは、私達に背中を向けたまま止まった。
「き、……聞いたんでしょ?だったらちゃんと告らせてよ。私、瀬川のことが好きだから。ずっと……、小学校の時から」
うそ…?
ななっぺ、そんなに前から瀬川くんのことを想っていたの…??
けど、ななっぺの必死な告白を聞いても、瀬川くんは背中を向けたままだった。
忘れ物のピンクのタオルを手に持ったあゆも、何事かとドアのところに近付いてきた。
「ずっと好きだった。だから、中学で一緒のクラスになれて嬉しかった。このままの関係でもいいって思ってたけど、やっぱりもっと仲良くなりたい」
ななっぺは、私と瀬川くんが知り合う前からずっとずっと瀬川くんのことを見つめ続けていたんだね…?
ななっぺは女の子らしくて優しくて、そして群を抜くほど可愛い。
…私なんて、そんなななっぺにかなうところが一つもない。
「…瀬川。私と付き合ってほしいの」
真剣なななっぺの叫びは、瀬川くんにどう届いたんだろう…?
背中を向けたままの瀬川くんは、手に持った袋をギュッと握り締めた。
そして、ゆっくりと私達の方に振り返った。

