引っ込み思案な恋心。-1st






「あ、あの…瀬川くん……」





とにかく何かフォローしようと口を開いてみたものの、言葉が何も出てこない。





その時……





「あっれー!?柚と瀬川じゃん!!こんなトコで何やってんの???」





廊下の奥からあゆの大声が響いてきた。





そして、あゆが早足でこっちに向かってくる。





や……、やばいって!!





「どうしたの?アンタ達。教室の真ん前でしゃがみこんじゃってさ」





しかもあゆ、声が大き過ぎ……。





そんなあゆの声を聞きつけてしまったのか、いきなり目の前の教室のドアがガラリと勢いよく開いた。





上を向いて教室の中を見ると、そこにはななっぺの姿があった。





そして後ろには、驚きを隠せないあかねちゃん。








「う、うそ…。瀬川……?」





ドアの向こう側に見えた瀬川くんに気付き、ななっぺは明らかにショックを受けた様子。





あかねちゃんはすぐに私の姿に気付いて、私に駆け寄って身体を立たせてくれた。





いつの間にか立ち上がっていた瀬川くんは、ななっぺの横を通り過ぎて、無言で教室に入っていった。





「あれ?どうしたのみんな?何かよそよそしくない?…てかさ、タオル忘れちゃって、取りに来ただけだったんだけど…」



「…柚も聞いてたんだ?」






何が何だか分からないあゆは、ただただ明るい声を私達に投げかけてくれていた。





けど、ななっぺには届いていないようだった。





私はとても冷たい視線でななっぺに見られた。






…どうして?




確かに私、盗み聞きしたのは悪かったけど、どうしてそんな瞳で私を見てくるの…?