「あ、あの…瀬川くん……」
とにかく何かフォローしようと口を開いてみたものの、言葉が何も出てこない。
その時……
「あっれー!?柚と瀬川じゃん!!こんなトコで何やってんの???」
廊下の奥からあゆの大声が響いてきた。
そして、あゆが早足でこっちに向かってくる。
や……、やばいって!!
「どうしたの?アンタ達。教室の真ん前でしゃがみこんじゃってさ」
しかもあゆ、声が大き過ぎ……。
そんなあゆの声を聞きつけてしまったのか、いきなり目の前の教室のドアがガラリと勢いよく開いた。
上を向いて教室の中を見ると、そこにはななっぺの姿があった。
そして後ろには、驚きを隠せないあかねちゃん。
「う、うそ…。瀬川……?」
ドアの向こう側に見えた瀬川くんに気付き、ななっぺは明らかにショックを受けた様子。
あかねちゃんはすぐに私の姿に気付いて、私に駆け寄って身体を立たせてくれた。
いつの間にか立ち上がっていた瀬川くんは、ななっぺの横を通り過ぎて、無言で教室に入っていった。
「あれ?どうしたのみんな?何かよそよそしくない?…てかさ、タオル忘れちゃって、取りに来ただけだったんだけど…」
「…柚も聞いてたんだ?」
何が何だか分からないあゆは、ただただ明るい声を私達に投げかけてくれていた。
けど、ななっぺには届いていないようだった。
私はとても冷たい視線でななっぺに見られた。
…どうして?
確かに私、盗み聞きしたのは悪かったけど、どうしてそんな瞳で私を見てくるの…?

