「はあ…。私がシクったから2位になっちゃったね…」





閉会式が終わり、下校の時間になっても、あゆはさっきのバトンパスのミスを悔やんでいた。





「あゆ、元気出しなよー。瀬川が挽回してくれたんだしさぁ、良かったじゃん」





あかねちゃんは一生懸命あゆを励ましていた。





もちろん、ななっぺも。





「そうだよ。終わったことは忘れよ」



「せっかく応援してくれたのにごめんね…」






あゆは本気で落ち込んでいた。





そんなあゆを見てられなくて、私はあゆの肩に触れた。





「あゆ、私も同じだから。みんな応援してくれたのに、結果が残せなかった」



「…柚?」



「けど、みんなきっと怒ってないよ。私、ゴールした時に起こった拍手、嬉しかったから。みんな、『あゆ、お疲れ様』って思ってるよ」



「うん!私もむかではビリだったけど、みんなの応援でちゃんと完走できた。誰もあゆのことなんか恨んでないよ」





ななっぺも私に同調してくれた。






そう。



この体育祭がなければ、きっと私だってこうは思えなかったと思う。





みんなの心が一つになると、それはあったかいものになるんだって。








「…そうだね。ありがとう。気を取り直して帰ろうか」





あゆの表情が、一気に穏やかなものになった。







…よかった。



私の想い、あゆに届いたんだね。










こうして、中学に入って初めての体育祭は、幕を閉じた。













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