「杉田、お疲れ」
「…瀬川くん?」
隣に座ったのは、瀬川くん。
私はさっき、瀬川くんの声援を聞いて頑張ったから、その張本人がいきなり横に現れて、少し緊張した。
「よく頑張ったな。杉田らしさが出てて良かったと思う」
ドキ………
すごく柔らかい微笑みを見て、鼓動がまた速くなった気がした。
「あ、ありがとう…」
それしか言えない。
もっと言いたい事、たくさんあるはずなのに。
「だね。諦めないところが柚らしいよね。うちらもリレー頑張っていかないと!」
代わりに口を開いたのは、あゆだった。
「ああ。俺らも最後まで諦めないリレーをしないとな。まだまだ回ってこないけど、応援しろよ、杉田」
「もっ、もちろん!」
確か、リレーはプログラムの一番最後だよね。
得点が競っていたら、一発逆転もあり得る団体競技。
「この後、例のマサのむかでが登場するんだろ?すげー気になるんだけど」
「そうだよね。結局ちゃんと走れてないらしいし、どうなっちゃうんだろ」
あゆが瀬川くんにそう返していると、後ろからクラスの女子の声が聞こえてきた。
「多田さん!呼び出しなんだけど」
「え?私?」
あゆは後ろを振り向いた途端、急に表情を変えた。
それまでリラックスして笑顔で話していたのに、緊張してこわばった笑顔になっていた。
「…どうしたの?あゆ」
私が声をかけると、あゆはハッと我に返り、いつもの笑顔を私に向けた。
「え…ちょっと行ってくるね。すぐ帰るから、待ってて」
「うん、分かった」
何か、おかしい。
おかしいとは思ったけど、それ以上詮索できなかった。
あゆは急いでテントを出て、ある男の人の所へと走っていった。

