引っ込み思案な恋心。-1st






一瞬だけ、両目をつぶった。





落ち着け、私。





そう言い聞かせて、目を開き、一気に平均台を渡った。






…やった、成功!






渡り終えて、そのままゴールした時、うちのクラスのテントの方から拍手が聞こえてきた。





うそ……


私、ビリだったのに。




あんなに練習したのに、ビリだったのに……。











クラスのテントを見ると、大きな拍手の中であゆ達3人が私の名前を呼んでいるのが分かった。





そして別の一角では、瀬川くんが満足そうに頷きながら大きな拍手を送ってくれていた。






その拍手はいつの間にかうちのクラスだけでなく、他のクラス、他の学年にまで広まっていた。





最後に平均台に上がった時の視線、ものすごく怖かったのに。





何でこんなに温かい拍手をしてくれるの…?







マイナスな意味で注目されているとばかり思っていたら、いつの間にか『頑張ったね』の意味で注目されていたなんて。





正直、注目されることが怖くて嫌で仕方なかった。





けど……、こんなに嬉しいと思ったことは初めてだった。









全ての障害物競争のレースが終わり、退場門へ戻る時、一緒に走っていた別のクラスの人から「お疲れ」って笑顔で声をかけられた。





私は何も言えなかった。





だけど、嬉しくて、満足感でいっぱいだった。






最初は余りものだったから私が走ることになった障害物競争。





だけど、今は心から走って良かったと思えた。