「ね、何読んでんの?」 瀬川くんが、笑顔で私に聞いてくる。 他の男子も私の返事を待っているという感じだった。 「いや…」 何、これ?拷問? たくさんの視線に耐えきれず、私はつい下を向いてしまった。 「…なんでも……ないよ」 蚊の鳴くような声で、それだけつぶやいた。 ハッキリ言って、質問の答えに答えていない。 そんなこと、分かってる。 だけど私は、この注目されている場から一刻も早く逃げたかった。 私はキョトンとする男子達を横目に本を閉じ、そのまま急ぎ足でトイレに向かった。