向かったのは近くの大学病院

急いで彼女の病室に向かう。が、その時だった…

『―――。』

エレベーター乗り場の近くの大きな花が飾られている台に彼女は支えながら立っていた。


『―――ちゃん。』


彼女が彼の名を呟いた。
微笑む彼女の表情は幸せそのものだった。

『…せつな。』

二人の距離はとても近かったがものすごく遠くに感じられた。
そして見つめ合う時間もものすごく永く感じられたのだ。

…まるで、織り姫様と彦星のように。


そして、彼女が一歩こっちに向かった時――


ガタンッ!!!


『せつなっ!!』


彼女に駆け寄る彼をみて、私は動けず うつ向き 目を閉じた…








病院内のアナウンスや人ごみ、子どもの声、悲鳴、全てが雑音に聞こえる。。。
―嗚呼、五月蝿。