カミヤが最初に手に取ったのはニンニク。
一個丸々は多すぎるのでひと欠片を取り出しそれを細かく切っていく。
みじん切りにされたニンニクをまな板の隅によせると鍋に水を入れ火をかけた後野菜の皮をむき始める。

「…むー…ピーラーは無いのかな?」

包丁の背で器用に根菜の皮を剥いて行くのだが、自分の記憶の中にある器具の不足に若干のやりづらさを覚えていた。
それでも元々料理好きだったのか、体が動きを覚えているらしく大した問題も起こらずに野菜の下ごしらえを終えるのだった。

「キュ~…。」

「あん?腹ペコか?」

「キュン!!」

「わかったよ。」

そう言うとカミヤは鳥ササミの半分を細切りにし、それをザルにあけ沸騰したお湯を垂らし始める。
熱いお湯によって打たれたササミは湯気とともに肌色から白く変わり身が締まっていく。
更に冷水にかけ身を締めると再びまな板に開け、太い部分の肉を裂いて皿に盛りつけ始めた。



湯引きの完成である。