-寮付近・噴水前-

「ハァ…ハァ…。」

「ハァ……フゥ…~~っカミヤ…ホントいい加減にしろよ。」

「…何が!?」

息も帰りも全速力で走り、汗を掻いてその場に倒れこもうとする体を必死に抑えたまま二人は睨み合う。

「とぼけんな!!あんたが吹っ飛ばしたのは特待生だって走りだす前に言っただろうが!!」

「だからなに?」

「な…に……ってお前なぁ!!」

声を震わせながら掴みかかろうとするラックの手をカミヤはいとも簡単に弾く。

「~~~っっ…あんた…何がしたいんだよ…?」

体に走る怒りを必死で押さえながらやっと出たコトバ。
だがそれとは対照にカミヤの顔には一切怒りなんて感情は無いように思えた。
それよりもむしろ…

「…ヒーローになりたい訳じゃない。
ちやほやされたい訳でもない。
…ただ、あそこで動かなかったら俺は後悔しただろうから…自分に嘘をつきたくなかっただけだ。」

…それは、今までずっと己に課していたような…『覚悟』の顔。