「現状殆どの上位ランカーがこの風習を悪用している。」

そこまで聞いた時、カミヤが何か察したように口を開く。

「つまり…パシリか?」

「そんな生ぬるいもんなら良いんだがな。」

「…ってことは。」

「ここの生徒や女教師がいったい一年間に何人入院しているか教えてやろうか?」

「………。」

「無傷なまま生き残る生徒なんて全体の5%も満たない。
そしてその殆どが並み以下の…実力の無い、要は『役立たず』や『落ちこぼれ』のレッテルが張られる生徒たちだ。
最近じゃ実力のある奴のモノになる事はステイタスだなんて事を言い出す奴もいるよ。」

「…………。」

「さっきあの店員が俺に通常より大きなのを渡したのはご機嫌取りの為だ。
火種を先に消しておきたかったんだろう、それが当然のようにごく自然にな。」

半分開き直ったような態度にも見えるが、ラックの眼には先ほどのような光は無かった。
口角の上がった口からは吐き捨てるような言葉しか出て来ず痛々しい。

「で…あんたの事なんだけど。」