「…?」

カミヤは意味が解らなかったがここは言う通りにするしかないようだ。

「なんで大の男がこんな時間にクレープ買いに行かなきゃなんないんだか…。」

文句を言いつつもさっき手渡されたプレートを手に、カミヤは店主らしき人の前に立った。

「スイマセン、シナモンアップル一つください。」

「ハイよ、お支払いは?」

「あ…プレートで?」

「はい…あんたあんまり見ない顔だね、新入生?」

「えー…と、まぁ似たようなものです。」

他愛のないやり取りをしながら、出来あがるのを待つ様子は、別に不思議な様子も無く何処にでもある風景と大差ない。
カミヤは何故ラックがここで買い物をさせようとしたのか解らずにいた。

「普通に買えたぞ?」

品物を手に、何の問題も無く帰って来たカミヤは不思議そうな表情でラックを見る。

「…じゃあ、今度は俺が買いに行く、そこでよく見とけ。」

そう言うと、ラックは着ていたフードを被り同じクレープ屋へ歩いていった。