「そか…じゃあラックな、よろしく。俺はー…寝る。」

「え?いやおい!!」

まだ朝日が淡い赤色の光の中、パタンとベッドに倒れてしまったカミヤにラックは焦って声をかけるのだが…

「なんだよ…つーか眩しいな…これで良いか。」

「なんだよじゃねえ!!お前俺を部屋に入れたまま寝るのか!?」

「一夜を共にしといて何言ってやがる。」

「それは…もう事情を知っただろ!?」

「だから?」

「だからって…」

「その過去が俺の睡眠と関係あるか?」

「………。」

「……~~~っあ゙ぁ゙もうめんどくせぇな!!!」

「うわ!?」

若干不機嫌そうに叫び、起き上がるとアイマスク代わりに乗っけていたユナと一緒にラックへ圧し掛かった。

「キュゥ~?」
「なにす…やめ…」

「いいか?まず俺はお前の敵じゃない、その羽も綺麗だなーぐらいにしか思ってないしさっきの話を聞いてみてもそれは変わらない。
お前が自分を否定しようが汚いと言おうが俺の知った事じゃない。
これだけ答えろ、お互い名前を知って、性格を知って、過去を知って、お前は何が欲しいんだ?」

自分にとって二回目の、呑み込まれるような感覚。
あの人と似ているけど違う…穏やかで温かいのに儚げで、むしろ自分に近いような。
圧し掛かられる重さとだんだん伝わってくる人の温度、奴隷だったラックにとって同年代からはもちろん無く、学園長に抱かれて以来のことだった。
生まれて初めての出来事の連続に頭がついていけないでボーっとする。

「…俺は…友達が……居場所が欲しい。」

「じゃあここ使えばいいじゃん。」

それだけ言って、いきなり倒れこむとカミヤはそのまま眠ってしまった。
自分に対して何の警戒も無く、疑いも無く眠る男に残されたラックはゆっくり近づく。

「………。」








起こさないようそーっと腕を掴むと、震える体の主は寝息を立てる恩人の隣で寄り添うように、自分も眠った。











伝わったから、ここにいてもいいと。