-自室-

「キュー…キュ!?ギュゥー!!キューン!!」

「Σあ゙痛!?うわ!?ヤメロって馬鹿悪かったから!!」

カミヤが部屋から出て行った後、残された子狐はしばらく眠っていたのだが人の気配が無くなって眼を覚ました。
その後部屋の中を捜しまわるも見つからず、置いてけぼりにされたことに気づくと暴れまわり、とうとう疲れ果てて寂しく丸まっていたのである。

「ゴメンって、もう行かないからさ…ちょっとベッドにこいつ運んだら構ってやるから待ってな。」

「…キュ?」

自分の知らない人間を見て、子狐は不思議そうな表情を浮かべていた。
小一時間ほど前まで自分が寝ていたベッドに少年を寝かせると空いたスペースに座って自分も止血する為、足元の子狐を弄りつつ着ていた服を脱ぐとそれを首に巻き血止めをした。
押さえながら洗面所へ向かうと、幸い水道はもう通っていたし応急セットも見つかったので問題はなさそうだ。

「キュゥ~…」

肩の上に登り、心配そうに鼻をヒクヒク動かす狐をあやしつつ、自分の手当てを終え相手を見据える。
そして不満そうに


「ったく…いきなり暴れるわ攻撃されるわ…なんなんだよこいつは。
名前も知らんし……ん?名前?」

ある事に気づいて、肩に乗っていた狐を摘まむとカミヤはそーいえばと言い、

「お前の名前も決めて無かったね。」