カミヤが行った事、意識が飛んでいた事により一瞬の反応が鈍った自分がするには危険を伴うが有効的な手段だった。
体を回転しながら攻撃する際、直進するよりも武器の出所が掴みにくいがその動作上どんな達人でも死角が出来る。
体勢が前かがみならば後ろに飛ぶよりも最短距離を直進することで、無傷とはいかないまでも貫通するはずの軌道上から逸れ0距離で自分の拳を相手に捻じ込む事が出来たのだ。

「フゥー…フゥー…っ…。」

そのまま崩れ落ちそうになるも銀髪の男は、気絶しまいと震える膝でなんとか持ちこたえようと体重をかける。
だが既に勝敗は決していた。

「なんのつもりか知らないけどさ…眼が覚めたらキッチリ聞かせてもらうぞ。」

その言葉が鐘となり、真夜中の競り合いは幕を閉じた。
崩れる体を支え、漆黒の羽を携えた銀髪の少年を抱き上げるとカミヤは部屋へと戻る…。