Ⅹ-story-ｸﾛｽｽﾄｰﾘｰ

「っつ…この…!!」

空振りしたことで壁に突撃しそうになる体を反転させ、三角飛びのように体を跳ねらすと蹴りを入れる。
だが再び分かっていたかのように躱されてしまった。

「…。」

相変わらず男は自分から攻撃しようとはしない。
と言って余所見をしているわけでもない。
どちらかというと観察しているような、奇妙な動き。

「…うん…やはりダメだな。」

「は？…!?」

ダラリとした腕を片方だけ動かし、構えたのは人差し指。
指さしのように、手首だけを自分に向けて…ただそれだけのはずだった。

「…あの子の作った学び舎で…もう少し。」

瞬きをしたわけではなかった、余所見なんてもちろんしなかった。
一切の隙なんて見せていないはずなのに…。
いつの間にか目の前に現れた男は額を軽く突き、カミヤの記憶はそこで途切れた。