「「…はぁ。」」

二人同時にため息をついたところでお互い顔を見合わせた。
気まずい…会話が無いと荷物が重くなる。
かろうじて相手いる左手で鼻を掻くとどうしたものかと悩んでいたのだが…

「カミヤはさ…。」

意外にも先に口を開いたのは蛍だった。
だが明るい話ではないらしい。

「…自分の記憶を取り戻したいって思ってる?」

…どうやらこいつの悩みは俺についてのことだったらしい。
しかも自分にとってもタイムリーな話題で。

「…まぁ思わないと言えば嘘になるよね。
自分で自分の事が分からないっていうのは…なんて言うか、怖い。」

「そっか…そうだよね、ゴメ「でもさ。」

「仮に記憶が戻らなかったら、それはそれで…別にいいかな。」

「え?」

「だって俺の体ってさ…一般学生とは違うだろ?」

「…。」

「こっちに来てまだ日が浅いから分かんないけどさ、少なくとも同年代の中では化け物扱いされるようなスペックなんだろ?」

「もしかしたらこの学園以外で戦争みたいなもんに参加していたかも知れないし、犯罪者だったのかも知れない。」

「だったらいっそこのま「ばーか。」