「まったくもう…!!」

「張り手喰らわす程怒らんでも…」

真っ赤になった右頬を擦りながら彼女の後をついていく、無論荷物は全部自分持ちで。

「五月蝿い五月蝿い!!あんなの…っ(ドキドキした僕が馬鹿みたいじゃないか…)」

普段品の良い蛍が珍しく肩を揺らしながら歩く。
夕飯の買い物はとうに終わっているが、まだまだ怒りは収まらないらしい。
まぁカミヤもカミヤで反省したらしく、つかつかと歩く相手の後ろを苦笑いしながら付いて行くのだった。

学園の敷地内にある町。
相変わらず人の出入りが激しい上にやはり周囲からの目線は慣れるものではない。
どうにも自分は注目されると言う事があまり好きではないらしい。
それでもこの場から離れようとしないのは、それを上回るほどこういうやり取りが好きなのだ。

「なにニヤニヤしてるのさ、気持ち悪い。」

「ん？あぁスマン。」

…どうやら思っていたことが顔に出ていたらしい。
『嘘が苦手』
これも自分の特徴のようだ。