「…え?」

今度は蛍が間抜けな返事をした。
彼女はデートなど今までしたことが無いからだ、女になってからなど尚更である。

「えーと、えーと…カミヤ、僕は男だよ?」

「知ってる。」

まさか忘れてしまったのかと思っていたがそうではないらしい。
彼らしい、くだけているがハッキリした言い方だった。

「つまり…分かった上で…ってこと?」

「…不満?」

徐々にカミヤの体が蛍へと歩みを進める。
元々自分のした悪戯で距離は近かったが…それでもこんな密着することは無かった。

「いや不満とかじゃなくてっ……その…近いよ…。」

「顔が紅いぞ?照れているのか、男同士なのに。」

口ごもる蛍を壁の方まで誘導する。
逃げ道の無くなった彼女を囲むため、頭のすぐ隣に手を置いた。

「ちょ……ま…僕、こんな経験ない…から…っ」

「ま、冗談だ。」

「…は?」

「暇なんだろ?夕飯買いに行くから付き合ってね。」

「………~~~~っっ馬鹿!!!!」